2013年 05月 27日
![]() 湖の釣りって、概ねそんな感じだと思っていたのだけど 今期の中禅寺の釣りを通し、そこを徹底的に通い倒す常連さんの思考回路に触れる機会を得て 改めて『湖を読む』ことの重要性を強く感じたのでした。 湖のことを『止水』と言うけれど、実際の湖では常に何らかの流れが生じているのが普通です。 湖の中に発生する流れは『湖流』と呼ばれ、その最も基礎となる流れが『傾斜流』と言われるものです。これは、インレットからアウトレットまでの高低差で発生する流れのことを言います。 湖の流れを考えるとき、まずはこの基本湖流を抑えることが大前提です。 そして、そんな基本湖流に『吹送流』というのが乗じてきます。 『吹送流』とは風との摩擦によって湖面の表層が移動することで発生する流れのことです。 湖の表面積が最も広い区間において、強風が一定方向から長時間吹き続けた場合に もっとも強い『吹送流』が発生します。 ただ注意しなければならないのは『吹送流』は、なにも表面の流れだけに留まらない点です。 風下側に打ち寄せられ水圧の高まった流れは、圧力の低い水域に潜り込むような対流を発生させるのです。 つまり、表層から下の層には風向きと逆に沖に向かう流れ(下層離岸流)が発生することもあるわけです。 ※立ち込んだ足下をシャッフリングしてやると、そこで舞い上がった砂や沈殿物が風向きとは違う方向に流れて行くので容易に確認できます。 岸から沖に向かう流れは沖の魚を手前に呼び込みますから、当然釣り的にはチャンスとなります。 実際、アゲインストの時はキャスティングに苦労するものの、良く釣れることがソレを裏付けています。 これはホンの一例に過ぎませんが 湖においてはこの『吹送流』がもっとも釣りに影響するように感じています。 ソレ以外にも聞き慣れない言葉では『密度流』というのがあります。 これは水の密度(温度や圧力等)が起こす対流のことを言います。 湖の季節循環の代表でもあるターンオーバーもこれに属します。 通い詰めた常連の釣師達の会話の中で 『西風の時には、アソコの岬が良い』とか 『北西の風では、あのワンドが…』という言葉を聞かれたこともあるとは思いますが つまりは…そういうことなのです。 本来であれば、その時の天候(気温/水温/風向き)から湖流を推測し そこに地形を加味してポイントを割り出したいところですけど 風向き次第でコロコロ変わる湖流を完璧に把握することは…まず無理です。 そもそも湖流の解析は、トラウトの回遊コースの目安の一つに過ぎず 絶対的な釣果を約束するものではありません。 ただ、だからと言って、ただ何も考えずに実績のあるポイントで闇雲に魚の回遊や時合を待つよりも 湖流を求め、積極的に攻めた方が、魚に出逢える確率はグッと上がることには間違いないでしょうね。 今回から、そんなことを色々と考えながらの釣りをしてきました。 そのとっかかりとして、まずは『丸沼』と行きたいところですが… 今回は釣り大会が開催されていて、思ったポイントに入れない事を危惧。 そんなワケで、少し足を延ばして日光湯ノ湖に決定。 湯ノ湖は周囲3kmほどのこじんまりとした湖で、水表面積も水深も、さほどではないので 風による『吹送流』の影響は、さほど深読みしなくても良いと考えます。 それよりも名瀑『湯滝』を抱えるアウトレットだけあって、明確な基本湖流を持っている湖ですから ポイントは絞り込み易いと言えます。 (…というかフライで岸釣りという条件では、そもそも場所が限られています) ![]() 吐き出しのワンドには、常に大きくゆっくりとした『巻き』が発生しています。 ※今のところ図柄はかなり大雑把です。後で細かく調べておきますね。 これは、投じたフライラインの引き重り感や、浮き藻の移動具合から判断出来ます。 どうやら魚達は、この湖流に向流するカタチでワンドに入って来てくるようです。 そう考えると、このワンドでは、なるべく右奥(インレット方向の対角に見える建築物を目安) に向かって投げた方が群れにフライが接触する時間が長い…ということが言えると思います。 実際投げてみると、岸から35m付近には、沖に向かう強烈な引き重りを感じることが出来ましたしね。 ![]() この調子で…と思っていたら、午後になって天気が急変。 イキナリの落雷と嵐のような雹に見舞われてしまいました。 ![]() 水温は4度になると、もっとも比重が重くなりますから ターンオーバーまではいかなくても、それに近い状態の表下層間の対流が、これから起こることでしょう。 状況的には厳しい状況に向かっていると考えられるので、今回の釣りはここでストップせざる終えませんでした。 ![]() これを機にポイントに縛られずに彼方此方で湖流を探ってみようと思います。 今まで見落としていた新しいポイントが見つかるかも知れませんね。
by sureyamo
| 2013-05-27 18:32
| Lake fishing
|
Comments(8)
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地元でのスクールの様子はどうだったのでしょうか
楽しみにしてますのでよろしくです。
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kenさん
おはようございます。 第二回目のスクールなのですが、今回目論んでおりました戻りヤマメの遡上がかなり遅れており(足利付近で足止め状態)桐生地区での昼間の羽化に絡んだライズフィッシングが今期は困難と判断いたしまして、断腸の思いでスクール中止の判断をさせて頂きました。動向を最後まで状況を見守っていた故、直前のキャンセルとなってしまいましたこと、参加者の皆様には深くお詫び致します。 ただ、現在渡良瀬川では成魚放流ながら尺ヤマメは釣れております。時節柄マズメ絡みになってしまうとは思いますが、是非お越し下さい。 ![]()
inaxさん、こんにちは!
まるでワタシに宛ててくださっているようでめちゃめちゃ参考になります。(笑) 35m付近ですかぁ、届かねーなー(^。^;) 丸沼には、今年はGW後半に一度行けただけです。 6月には北海道遠征を控えて、鋭意準備中であります。 熊に襲われずに無事戻りましたら、丸沼でお会いしましょう(^^)/ ![]()
inaxさん、こんにちはっ!
う~ん なるほど 湖流といっても色々あるんですね 今回も勉強になりました 3日休みが取れたので昨日一昨日と中禅寺湖で振り倒してまいりました で今日は、ヘロヘロで起きられません えっ?釣果? 恥ずかしくて申し上げられません PS・・・最近は先生でお忙しそうですね! こちらも頑張ってください!! ![]()
台風カレーさん
こんにちは! 今月号のFR誌に使用した湯ノ湖の写真に映っているのは、台風カレーさんですよ。(笑) 岸から35mですが、立ち込めば残りは26〜7mですから、ツーハンドなら届きますよ。試してみて下さい。 北海道ですか! 良いところですよ〜。(まだ二回しか行ったことないんですが…) 沢山釣って来て下さいね。 お土産話を楽しみにしていま〜す♪ ![]()
Sさん
自分でポイントを探せるスキルを覚えてしまえば、場所取りの呪縛から解放されますね。ただ、やはり『有名ポイント』というのは、釣れるべく条件を満たしているんだ…ということを痛感しました(笑) 中禅寺湖で打たれまくることで、どこに行っても折れない心が養えるでしょう(笑)頑張りましょう。 恥ずかしい釣果なんてありませんよ。 一番恥ずかしいのは『釣りに行かないくせに語ること』ですから(爆)。 そういう自分も、今期はあまり行けてないなぁ。(泣) ![]()
sureyamoさん、初めまして。中禅寺湖・湖流・風で検索したらたどり着きました。去年から中禅寺湖に通い始めてますが、湖流を読めとは言われるものの、イマイチ理解できませんでした。しかし、この記事を読んで少しヒントを掴んだ気がします。ありがとうございました。ただ軽いときは判るんですが、肝心の引き重りはまだよくわかりませんが。
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Oto`oさん
初めまして、そして書き込みありがとうございます。 ちょっと古い記事でしたが、Oto`oさんの釣りの参考なるようでしたら幸いです。 引き重り感についてですが、リトリーブに軽さを感じ取ることができるのでしたら直ぐ感じとって頂けるモノと思います。 ただこれも、ラインが軽いとわかり難いかも知れませんね。 高レートや高番手のラインは言うに及ばず、深いレンジにラインを通している時にはラインに掛かっている負荷(水圧)でも相応の引き重り感が出て来ます。重さ的に引き重り感と酷似しているので一度体験されてみると良いと思います。 |
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