
スティルボーンやクリップルという不完全個体は、マッチ・ザ・ハッチでは良く取り上げられるステージの一つ。
早春の釣りの代名詞と言える「ユスリカ」などをはじめと、凄まじい数が一斉にドッと羽化するタイプでは「お約束」の事象といえます。
こうして魚達のストマックからゾロゾロと出て来るスティルボーン。
ともすると、そんなシルエットだけを切り取ってフライに投影してしまいそうですが…
一言にスティルボーンといっても、そこに至る迄の経緯は一様ではありません。

上手くシャックから抜け出せない状態で溺れ死んでしまう個体もあれば、正常なその過程の最中に標的にされてしまう場合もあるでしょう。
また抜け出した状態にも関わらず、何らかの原因で水面に出られず溺れてしまうモノだっているハズだし…。
※水面に到達する前のピューパの段階で死んでしまう個体が入れば…それだって立派なスティルボーンですし。
理由が何であれ共通して言えるのは、魚達にとっては逃げない(逃げられない)格好のターゲットであるという事。
そして僕らが一番興味があるのは、そんな彼らの…とにかく「喰われる直前」の姿です。
少しの取りこぼしも無く、完全なストマックサンプルが取れると仮定するのなら…スティルボーンとシャックの数合わせは有効的な判断方法です。
ピューパ(またはトレーリングシャック)の状態で補食されていれば、その数は一致して当然。
スティルボーンの数だけシャックを喰うような捕食をしない限りは…(笑)
冒頭の写真は、サンプルとして採取することができた唯一のモノで…恐らくは、ほぼ間違いなく「一セット」。
この写真でのスティルボーンは、足を延ばしてしまってますが、これは撮影の為に何度か揺すってしまった為。採取した直後は足は完全に閉じた状態でした。
面白いのは、スティルボーンの随所に付着している気泡。
イマージングガスの概念は、シャックと本体の間に溜め込まれるモノですが、既にシャックから抜け出た直後のスティルボーン自身が、こうした感じで全身に気泡を纏っていることは多くあります。当然コレだけでも相当な浮力を持っています。

シャレー上の個体。シャックからは完全に抜け出してしまっていますけど…よく見ると気泡が光っているのが判ります。
イマージングガスは、こんなスティルボーンでも絡んでくる要素なのですね。つづく